漢方薬で婦人病・更年期障害・不妊症・等、さまざまな症状を改善。

十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

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十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

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概説

十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)

 十全大補湯は、体力と気力を回復させる漢方薬です。

作用

働き

 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)という方剤です。
 体力と気力を補い、元気をとりもどすのを助けます。
 冷え症で貧血気味、顔色が悪く、疲労衰弱がひどいとき、
 あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用います。

組成

 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。
 十全大補湯の構成生薬は、体によい下記の10種類です。

 血行をよくして貧血症状を改善する“当帰”や“川きゅう”、“地黄”をはじめ、
 滋養強壮作用のある“人参”や“黄耆”、
 水分循環をよくする“蒼朮”や“茯苓”、
 などが配合されています。

 これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
 病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。

  •当帰(トウキ)
  •川きゅう(センキュウ)
  •芍薬(シャクヤク)
  •地黄(ジオウ)
  •蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  •茯苓(ブクリョウ)
  •人参(ニンジン)
  •桂皮(ケイヒ)
  •黄耆(オウギ)
  •甘草(カンゾウ)

特徴

特徴

 十全大補湯の名前には、気(元気)、血(血流)、水(水分代謝)などの滞りを
 “大きく補整”し、病気を“全快”させるという意味合いが含まれます。
 宋時代の「和剤局方」という古典書で紹介されている処方です。
 よく使用されている漢方薬です。
 病院では、抗がん剤など強力な薬の副作用軽減を狙って処方されることがあります。

適応証(体質)は、

 虚証(虚弱)、寒証(冷え)、血虚(血流不足・貧血症状)、気虚(心身疲労)、
 となります。

注意

診察で

 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

注意する人

 食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢など、胃腸の弱っている人は
 慎重に用いる必要があります。

飲み合わせ・食べ合わせ

 芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、
 「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。

飲み合わせに注意..

 甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。

使用にあたり

 ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。
 顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。
 むかつくときは、水で飲んでもかまいません。

 もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。

効能

ツムラ・他

 病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血。

コタロー

 皮膚および粘膜が蒼白で、つやがなく、やせて貧血し、食欲不振や衰弱が
 はなはだしいもの。
 消耗性疾患、あるいは手術による衰弱、産後衰弱、全身衰弱時の次の諸症。
 低血圧症、貧血症、神経衰弱、疲労けん怠、胃腸虚弱、胃下垂。

三和

 貧血して皮膚および可視粘膜が蒼白で、栄養不良、痩せていて食欲がなく衰弱している
 ものの次の諸症。
 衰弱(産後、手術後、大病後)などの貧血症、低血圧症、白血病、痔瘻、カリエス、
 消耗性疾患による衰弱、出血、脱肛。

用法

通常、

 成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。
 なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
 ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。

副作用

漢方薬にも少しは副作用があります。

 人によっては、胃の不快感やもたれ感、食欲不振、吐き気などを催します。
 しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。

重い副作用はまずありませんが、

 配合生薬の甘草の大量服用により、
 浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。
 「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。
 複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。

そのほか、

 肝障害が報告されているようです。

万一のことですが、

 ひどい倦怠感、強い吐き気、発熱、皮膚や白目が黄色くなる、
 といった症状に気をつけてください。

重い副作用 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください

 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、
            筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
 肝臓の重い症状....だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、
            皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。

その他

 胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、下痢
 発疹、発赤、かゆみ

備考

中国の中医学中薬と日本の漢方薬

 中医学中薬は中国で生まれた体系医学です。
 その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。
 そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげ漢方となりました。

漢方薬の特徴

 漢方の特徴は、体全体をみるということです。
 体全体の調子を整え、病気を治していくのです。
 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。
 このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。

 このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。
 漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、
 その考え方にあるといっても過言でないでしょう。

漢方薬の保険適応

 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。
 これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます。
  (一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)
 現在、十全大補湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。


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