漢方薬で婦人病・更年期障害・不妊症・等、さまざまな症状を改善。

柴苓湯

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柴苓湯(サイレイトウ)

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概説

柴苓湯(サイレイトウ)

 柴苓湯は、炎症をやわらげ、水分循環をよくする漢方薬です。

作用

働き

 柴苓湯(サイレイトウ)という方剤です。
 体の免疫反応を調整し、炎症をやわらげる働きをします。
 また、水分循環を改善し、無駄な水分を取り除きます。
 体力が中くらいで、口が渇き尿量が少ないことを目安に用います。

 具体的には、胃腸炎などによる下痢や嘔吐、むくみ(浮腫)などに適応します。
 また、腎炎やネフローゼ、喘息や肝炎などアレルギーや免疫系がかかわる病気に、
 さらには不育症(習慣流産)や妊娠高血圧などの治療にも応用されます。

組成

 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。

 柴苓湯には、
 “柴胡”や“黄ごん”など炎症をしずめる生薬のほか、
 “猪苓”や“茯苓”など利尿作用のある生薬が
 いろいろと配合されています。

 これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
 病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。

  •柴胡(サイコ)
  •黄ごん(オウゴン)
  •半夏(ハンゲ)
  •人参(ニンジン)
  •甘草(カンゾウ)
  •生姜(ショウキョウ)
  •大棗(タイソウ)
  •猪苓(チョレイ)
  •茯苓(ブクリョウ)
  •蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)
  •沢瀉(タクシャ)
  •桂皮(ケイヒ)

特徴

特徴

 基本処方である小柴胡湯と、利尿作用のある五苓散を合わせた方剤です。
 方剤構成からは“柴胡剤”に分類されます。

適応証(体質)は、

 半表半裏・少陽病(急性~慢性期)、熱証(炎症)、
 中間証~やや虚証(体力中くらい)、胸脇苦満(肋骨下部の張り)、
 湿証(水分停滞)を目安とします。

柴苓湯には、

 ステロイド様の免疫調整作用のほか、
 血小板凝集能抑制作用があるとの報告があります。

このような作用を応用し、

 ネフローゼをはじめ抗リン脂質抗体価が高い不育症(習慣流産)の治療に
 用いることがあります。
 ステロイド薬のような強い作用がないかわり、副作用はほとんどありません。

注意

診察で

 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

注意する人

 体がひどく弱っている「著しい虚証」の人は、慎重に用いる必要があります。

飲み合わせ・食べ合わせ

 芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、
 「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。

飲み合わせに注意..

 甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)、など。

使用にあたり

 ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。
 顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。
 むかつくときは、水で飲んでもかまいません。

 もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。

効能

効能

 吐き気、食欲不振、のどのかわき、排尿が少ないなどの次の諸症。
 水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ。

用法

通常、

 成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。
 なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
 ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。

副作用

漢方薬にも少しは副作用があります。

 人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなること
 があるかもしれません。
 しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。

重い副作用はまずありませんが、

 配合生薬の甘草の大量服用により、
 浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。
 「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。
 複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。

そのほか、

 間質性肺炎肝障害が報告されています。

万一のことですが、

 咳や息切れ、呼吸困難、発熱、ひどい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、
 といった症状に注意し、そのような場合はすぐ医師に連絡してください。

重い副作用 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください

 間質性肺炎......から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、
            筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
 肝臓の重い症状....だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、
            皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。

その他

 胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、下痢
 膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)
 発疹、発赤、かゆみ

備考

中国の中医学中薬と日本の漢方薬

 中医学中薬は中国で生まれた体系医学です。
 その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。
 そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげ漢方となりました。

漢方薬の特徴

 漢方の特徴は、体全体をみるということです。
 体全体の調子を整え、病気を治していくのです。
 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。
 このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。

 このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。
 漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、
 その考え方にあるといっても過言でないでしょう。

漢方薬の保険適応

 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。
 これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます。
  (一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)
 現在、柴苓湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。


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