肝障害
肝障害
肝障害(カンショウガイ)
薬物性肝障害
薬の服用により、肝臓の機能が障害される「薬物性肝障害」が引き起こされる
場合があります。
解熱消炎鎮痛薬、抗がん剤、抗真菌薬、漢方薬、など、
さまざまな医薬品で起こる場合がありますので、
何らかのお薬を服用していて、以下のような症状がみられ、
症状が持続する場合には、放置せず医師・薬剤師に連絡してください。
「倦怠感」、「食欲不振」、「発熱」、「黄疸」、「発疹」、
「吐き気・おう吐」、「かゆみ」、など
薬物性肝障害とは
肝臓は大切な臓器
肝臓は、生命維持に必要なさまざまな働きをする大切な臓器です。
薬の代謝(化学変化)は肝臓で行なわれることが多く、
さまざまな代謝産物が肝臓に出現するため、
副作用として肝機能障害が多いと考えられています。
代表的なものとしては、
解熱消炎鎮痛薬、抗がん剤、抗真菌薬(水虫や真菌症の飲み薬)、漢方薬、など
でみられます。
市販の解熱消炎鎮痛薬、総合感冒薬(かぜ薬)のような医薬品でみられること
もあります。
また、単独では
肝障害を引き起こさなくても、
複数の薬を一緒に飲むと肝障害が出る場合があります。
副作用の出かたには次のようなパターンがあります。
①たくさん飲んではじめて副作用が出る場合
これを中毒性肝障害といい、
例えばかぜ薬にもよく使われているアセトアミノフェンという
解熱消炎鎮痛薬はどんな人でもたくさん(規定量の10~20 倍以上を一度に)
飲めば肝機能障害が出ます。
決められた用法・用量を守ることが重要です。
②飲んだ量に関係なく副作用が出る場合
ほかの人では、服用しても何も問題ない薬でも、ある人では少量でも、
かゆみ、発疹、じんま疹、肝機能障害、などが出るパターンの肝障害です。
この場合、副作用が出るかどうか事前に予測することは難しいのですが、
ほかの薬でアレルギーが出たとか、もともと喘息やじんま疹、など
いわゆるアレルギー体質の方に出やすい傾向があります。
服用をはじめてから数時間といった早い時期の発疹で始まるなど、
反応が急速な場合もあります。
③ある特定の人にしか副作用が出ない場合
薬を代謝する酵素や、薬に対する免疫に個人差がある場合に出る肝障害です。
お酒の強さに個人差があるように、薬の代謝、分解にも個人差があること
が分ってきました。
薬によっては、6 ヶ月以上(なかには2 年以上)服用を続けた後に
肝機能障害が出ることもあります。
薬の副作用によって肝障害が生じた場合、
気づかずに長期使用すると重症化する場合があるため、注意が必要です。
早期発見と早期対応
早期発見と早期対応のポイント
「倦怠感」、「発熱」、「黄疸」、「発疹」、「吐き気・おう吐」、「かゆみ」、など
がみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりするような場合であって、
医薬品を服用している場合には、放置せずに医師、薬剤師に連絡をしてください。
受診する際には、
服用したお薬の種類、服用からどのくらいたっているのか、
症状の種類、程度などを医師に知らせてください。
早期の対応策としては、
その薬を飲まないことですが、勝手に中止すると危険な薬もありますので、
医師に相談して下さい。
① 副作用を早く発見するためには、
まず、飲んだ薬がどのような作用をもつ薬であるか、
どのような副作用が予想されるか、
医師や薬剤師からよく説明を受けておくことです。
最近では、薬局から渡される薬の説明書や「おくすり手帳」も有用です。
なお、抗がん剤、抗糖尿病薬、高脂血症薬、痛風薬、睡眠薬や抗うつ剤、など、
肝障害を起こす可能性がある薬の治療を受ける方は、
担当医師や薬剤師から使用するお薬の種類、肝障害を含めた副作用と、
早期発見のための定期的な血液検査などについての説明がありますので、
必ず説明をお聞きください。
② 次に、薬を飲みはじめたら、
予想される副作用に気をつけ、疑問を感じたら、
症状が起った日時や状態をメモして医師に確認しましょう。
③ 昼食後の薬などは、
外出先では飲みにくいため飲み忘れることがあります。
この場合、夕方にまとめて昼の分まで飲むのは避けてください。
一回の服用量が多すぎて副作用が出やすくなります。
もしも飲み忘れた場合、どうしたら良いかを
予め医師や薬剤師に尋ねておくことをお勧めします。
④ 薬を飲む時の水または湯の量も
副作用が出にくいように配慮して決められています。
例えば解熱消炎鎮痛薬などは胃が荒れないように、
多めの水または湯で飲むように書かれています。
服用する時間や食事との関係も、
薬の吸収や副作用の面から配慮されています。
服用方法を守ってください。
お酒と一緒に薬を飲むようなことは避けて下さい。
⑤ 肝臓病や腎臓病がある場合には
薬の代謝、分解、排泄が悪くなり、副作用が出やすくなります。
またいわゆるアレルギー体質の方なども副作用が出やすいので、
事前に医師に告げておくことが大切です。
⑥ 他の病院から出されているお薬がある場合には、
医師および薬剤師に薬の説明書を提示してください。
手元にない場合は、薬の名前だけでも結構です。
飲みあわせによっては副作用が出やすい場合があります。
また自分で健康食品やサプリメントを摂取している場合は
必ず医師にその内容を告げてください。
医薬品との飲みあわせが問題になることがあります。
また健康食品やサプリメントそのものが肝機能障害の原因と
なっていることもあります。
⑦ 最後に薬の副作用は
身体の症状にあらわれる前に血液検査で発見されることが多いので、
服用をはじめたら定期的に血液検査を受けることが極めて大切です。
長期に服用する薬では特にその事が重要です。
肝臓に腫瘍が出来たり、血管に異常を来すといった形で
あらわれる副作用もあり、
その場合には腹部超音波エコー検査などの画像診断が必要です。
【主な症状と具体的な身体所見】
○ 全身症状:倦怠感、発熱、黄疸、など
○ 消化器症状:食欲不振、吐き気、おう吐、腹痛など
○ 皮膚症状:発疹、じんましん、かゆみなど
また、症状として現れませんが、血液検査で発見される場合もあります。