漢方薬で婦人病・更年期障害・不妊症・等、さまざまな症状を改善。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

漢方薬の種類  ツムラ漢方薬  漢方薬の一覧  生薬の一覧  漢方薬

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

       スポンサードリンク

       

概説

防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

 防風通聖散は、肥満症に用いる漢方薬です。
 便秘、むくみ、高血圧にともなう肩こりやのぼせを改善します。

作用

働き

 防風通聖散(ボウフウツウショウサン)という方剤です。
 体の熱をさまし、病因を発散させるような働きがあります。
 また、体の水分循環を改善し、便通をつける作用もあります。
 体力のある太鼓腹の肥満タイプで、便秘がちの人に向く処方です。

 具体的には、肥満症、便秘、尿量減少、むくみ、のぼせ、肩こりなどに用います。
 また、そのような症状をともなう高血圧症や腎臓病、糖尿病などにも使用します。

組成

 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。

 防風通聖散には、“防風”や“麻黄”など病因を発散して治す発散性の生薬を中心に、
 熱や炎症をさますもの、便通をよくするもの、無駄な水分を取り去るもの、
 あるいは血流をよくする生薬などがいろいろと配合されています。

 これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
 病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。

  •防風(ボウフウ)
  •黄ごん(オウゴン)
  •大黄(ダイオウ)
  •芒硝(ボウショウ)
  •麻黄(マオウ)
  •石膏(セッコウ)
  •白朮(ビャクジュツ)
  •荊芥(ケイガイ)
  •連翹(レンギョウ)
  •桔梗(キキョウ)
  •山梔子(サンシシ)
  •芍薬(シャクヤク)
  •当帰(トウキ)
  •川きゅう(センキュウ)
  •薄荷(ハッカ)
  •滑石(カッセキ)
  •生姜(ショウキョウ)
  •甘草(カンゾウ)

特徴

主薬の“防風”と、聖人を意味する“通聖”

 防風通聖散は、金時代の「宣明論」という古典書で紹介されている処方です。
 その名前は、主薬の“防風”と、聖人を意味する“通聖”にちなんでいます。
 実証タイプのいわゆる太鼓腹の人に好んで用いられています。

適応証(体質)は、

 実証(体力充実)、熱証(暑がり・のぼせ)、湿証(水分停滞)となります。

注意

診察で

 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

注意する人

 体力の充実している「実証」向けの方剤です。
 したがって、体の虚弱な「虚証」の人、胃腸の調子の悪い人、
 また、発汗の多い人には向きません。

 麻黄には、心臓や血管に負担をかける交感神経刺激薬のエフェドリン類が含まれます。
 そのため、高血圧や心臓病、脳卒中既往など、循環器系に病気のある人は
 慎重に用いる必要があります。

注意が必要なケース..

 虚証(虚弱、病中・病後の衰弱期)、発汗の多い人、胃腸の病気、
 循環器系に病気または既往歴のある人(高血圧、心臓病、脳卒中)、
 腎臓病、排尿障害、甲状腺機能亢進症のある人など。

飲み合わせ・食べ合わせ

 エフェドリンやテオフィリンなど交感神経刺激作用のある薬との併用は
 慎重におこないます。
 また、芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、
 「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。

飲み合わせに注意..

 他の麻黄剤、エフェドリン類含有製剤、甲状腺製剤(チラーヂン)、
 カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン)、甘草含有製剤、
 テオフィリン(テオドール)、グリチルリチン(グリチ ロン等)など。

使用にあたり

 ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。
 顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。
 むかつくときは、水で飲んでもかまいません
 (熱証の人、あるいは吐き気に用いるときは、冷たい水で飲んだほうがよいことも)。

 もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。

効能

ツムラ・他

 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症。
 高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘。

コタロー

 脂肪ぶとりの体質で便秘し、尿量減少するもの。
 常習便秘、胃酸過多症、腎臓病、心臓衰弱、動脈硬化、高血圧、
 脳いっ血これらに伴う肩こり。

三和

 脂肪ぶとりの体質で便秘したりあるいは胸やけ、肩こり、尿量減少、などが
 伴うものの次の諸症。
 肥満症、高血圧症、常習便秘、痔疾、慢性腎炎、湿疹。

用法

通常、

 成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。
 なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
 ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。

副作用

漢方薬にも少しは副作用があります。

 人によっては、胃の不快感や吐き気、腹痛や下痢などを起こします。
 また、動悸や不眠、発汗過多などもまれにみられます。
 つらいときは、早めに受診してください。

重い副作用はまずありませんが、

 配合生薬の甘草の大量服用により、
 浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。
 「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。
 複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。

そのほか、

 間質性肺炎肝障害が報告されています。

万一のことですが、

 咳や息切れ、呼吸困難、発熱、ひどい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、
 といった症状に注意し、そのような場合はすぐ医師に連絡してください。

重い副作用 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください

 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、
            筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
 間質性肺炎......から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
 肝臓の重い症状....だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、
            皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。

その他

 胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、腹痛、軟便、下痢、動悸、不眠、
 発汗過多、尿が出にくい、イライラ感、発疹、発赤、かゆみ

備考

中国の中医学中薬と日本の漢方薬

 中医学中薬は中国で生まれた体系医学です。
 その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。
 そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげ漢方となりました。

漢方薬の特徴

 漢方の特徴は、体全体をみるということです。
 体全体の調子を整え、病気を治していくのです。
 ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。
 このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。

 このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。
 漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、
 その考え方にあるといっても過言でないでしょう。

漢方薬の保険適応

 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。
 これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます。
  (一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)
 現在、防風通聖散をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。


前のページ : 防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)
次のページ : 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional